教育徒然

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教育現場へのIT人材登用は有用。むしろ雇用態勢の改善が必須。

 ICT支援員や情報教育支援士といった人たちが教育現場に参加し始めている。これはとても有難いことである。もっともほとんど小中学校への派遣がほとんどで、高等学校は「情報」の教員がいるから大丈夫だろうという判断からなのかわずかばかりの例しか耳にしたことはない。

 さて、このICT支援員や情報教育支援士はどこまで有用なのだろうか。例えばもし自分の授業でICT支援員が来てくれるのならば何をしてもらうかを考えてみる。これはもう授業に一緒に参加してくれるだけで非常に助かる。何せ「情報」の授業をしていて、一番大変なのは各生徒から操作について質問され、それに個別対応していくことである。このとき複数の生徒が同時に操作を尋ねるので、基本各自の画面を見ながら対応していくとどうしても手が足りないのである。

 このとき重要なのは、質問に対して必ず答えを出すことではなく、生徒一人一人に対して必ず対応していくという点にある。正直パソコンの操作では意図する結果がでない理由を瞬時に把握できない場合などザラに起こる。単なる不具合だったり、百文字の中のたった一文字のミスだったりといったことはしょっちゅうで、これを見つけ出すことはなかなか難しい。それを生徒と一緒に考えることは、生徒と教員の心理的な距離を近づけると同時に、授業の中で分からないことを積極的に質問させる雰囲気を作り出すことに一躍買っている。

 こういった応対をするときに支援員がいてくれれば、生徒の「わからない迷路」に付き添わせることができるのだ。例え支援員が専門的なことが分からなかったとしても、生徒にとっては心強い「わからない同士」の仲間が出来て、わからないことを訴えさせる習慣を付けさせることにつながる。

 ちなみに私の勤める学校はほぼ底辺校といっていいレベルである。なかなか個性的な生徒がいることもあり、誰が先に教員を呼んだかなどの順番もはっきりさせる。そして必ず先に呼んだ生徒を特定し、待たせている生徒には先に呼んだ生徒に指導が終わったら必ず見るから少し待ってほしいということをしっかり口に出して伝える。そういったことを疎かにしなければ、難しい内容でも分からないなりに生徒はしっかりとついてくる。

 もちろんあまりにも分からない人数が多ければ全体指導を行っているが、全体指導の際の個別指導もまた教員にとっては心強い。こういっては何だが専門的知識がそれほどなくとも、生徒と一緒の行動をしてくれるだけでも大分授業の雰囲気は変わってくる。

 このような点からすればICT支援員は授業時に大きな役割を持ち、立ち位置が確立できている。しかし授業以外での役割が曖昧な点が雇用の不安定さにつながっている。こういってはなんだが、授業以外のICTスキルが高く、ネットワークの管理やHPの更新なども行える人材がいたとしても、週あたり2,3日で色々な学校をまわるなどの雇用形態になっていることが多い。そうすると、正直いつ発生するかもわからないトラブルに即応できない。加えて、そのトラブルをたった一人の支援員で時間をかけずに解決できるほどの人材であれば、わざわざ雇用が不安定な支援員など志望しないだろう。

 というよりICT支援員にネットワークの管理まで任せようとするのがそもそも間違いなのだ。あくまで生徒と関わる補助とすることが重要である。支援員に期待される役割として各教員とICTに対応した教材を作るといった内容が挙げられているが、実際には相当な打ち合わせと授業の組み立てが必要になる。

 教材と言っても単にパワーポイントでさっとまとめる程度だろうという認識しかない人では、わざわざ支援員を介する必要がなく、練り込んだ授業を行う人がアドバイザーとして支援員を頼りにするのだ。例を挙げてみよう。

 素案 

 教科書内の図を取り込み、授業時にプロジェクターで投影し、さらにその図に対していろいろ書き込みができるようにする。

 作業内容

 ① スキャナーで図の取り込み。

 ② 図の加工。

 ③ 図に対して書き込みができるソフトの模索。

 ④ 投影用のプロジェクター設置。

 ⑤ 授業中の細かい対応。 

 とまあ、このように簡略化した流れの中で見ていく。まず①のスキャナでの画像取り込みぐらいは一定のスキルがあれば教員にもできるので、教員がやった方がいいと思うかもしれない。しかしそれこそわざわざ取り込みだけをするのであれば、加工まで支援員が一気にやってしまった方が効率が良い。実際図を透過処理する作業などはそれなりにソフトスキルがなければできず、加工の段階で色々と工夫することができるだろう。現在のところ校務分掌を割り当てられない支援員ならば、それらの作業を校内にいる時間で仕事あてた方が教員にとっても無用な時間をとられずに済む。
 
 また③は注視されることは少ないが、効率よいソフトの選定は打ち合わせの中で色々と思考錯誤が必要である。まだまだ教育用支援ソフトが心許ない現状では、フリーソフトなどに頼るしかなく、いざというときに多くの問題が起こることが考えられる。それの検証などは共同で行うことが望ましい。④のプロジェクターの設置などもあらかじめ起こり得る可能性を支援員が蓄積した経験から対応できれば、不測の事態に慌てずに済む。⑤はいわずもがなである。

 これだけでも結構な作業量になる。なにせ私自身が他の教員に請われてやったことであり、これをやるためにどれほど時間がとられたことかは身をもって知っている。どんなに見繕っても2~3時間は余裕でとられる。普段の細かいサポートなども含めれば、それだけで支援員の作業をこなしているといってもいいだろう。

 ちなみにICT支援員の必要性で述べられていることは確かなのだが、どれだけのスキルが必要かは枠組みとして見る分と、実質必要スキルという点で大分かわる。授業にたまに出る程度の非常勤要員としてならば、本当に一般の大学生ボランティア程度で済むだろう。だが、もしネットワーク管理まで任せるというならば常勤まで考え、ITパスポートぐらいは持っている方がいい。

 また成績処理などをICT支援員で補助作業員として使うなどもあるが、やはりそうなると現在の雇用制度ではどう考えても不足である。これに校務のIT化までやらせようなどというのであれば、それこそシステムエンジニアの領域になるので、支援員や教員の片手間にやらせるものではない。

 校内のコンピュータ関係を担当する教員は、機材の管理やメンテナンス、ウイルス対策などを色々なところから押し付けられるのが常態化している。しかも専門的な内容になればなるほど、周囲がついてこれず丸投げされて、大して感謝もされない。それなら外部に任せればいいと思うかもしれないが、外部に任せればいいかどうかを判断するのもまた担当者なのだ。その判断を下すまでの試行錯誤がまったく考慮されないのも担当者の虚しさを増幅させている。多くの担当者がそういった状況に置かれていることを理解してほしい。

 ITの人材登用がかなり有用であるにも関わらず、いつまでも投入されない状況は一部の教員を追い詰めている。支援員の雇用態勢を何とかするか、校内のシステムやコンピュータの管理を行う教員については特別給与を支給するなどの具体策は必要である。
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